脚本(シナリオ)通りにはいかない!

脚本(シナリオ)通りにはいかない!

脚本(シナリオ)通りにはいかない!

映画が好きで、シナリオに興味がある、書きたいけど、ちゃんとベンキョーせんといけないんだろうなぁと怯んでいる人には最適です。
君塚良一萩本欽一の弟子でドラマの人についた訳ではなく、ひたすら映画ばかりものすごい数を観ていたというのは伝説だ。
彼は、いままでのシナリオライター金科玉条のテーマ主義、文学趣味をやんわりと退けて、徹底的に記号的な、あるいはハリウッド的なひたすら快楽的に観客がこう観られたらおもしろいはずだという視点からシナリオを書く。そんな彼独自のシナリオの発想方法とシナリオライターとしての映画の見方をじっくりと解説してくれる好書。
連載時の順番を再構成し、分かりやすくシナリオ論としても通用するように書き直しています。その時々の映画ばかりでなく、自分映画史からも出してきて(『野獣狩り』『約束』『静かなる決闘』『フランケンシュタイン対地底怪獣』『県警対組織暴力』『ピンクサロン 好色五人女』『鉄砲玉の美学』)、なるほどねと思わせる部分が多いです。また講演スタイルのシナリオ創作教室はあらこんなに気軽に考えていいのかしらんと目からウロコで必読。
割り切った視点と発想が君塚シナリオの魅力だと思うんだけどね。私自身は完成度よりは、パクリばかりのドラマの中で、孤独に実験的なシナリオを出してくるところが好きですね。それでいながら商業的なスタイル(泣かせどころ)も踏まえている。まあ彼が言っているほど、映画やドラマのシナリオが成功しているかを読み手がどう評価するかどうかなのではありますが…。