『ミスティック・リバー』について

以前にイーストウッド西部劇だろうと書いたが、新たに恐ろしいことにふと気づいた。これは裏『荒野のストレンジャー』だ。
あの作品は見捨てられたイーストウッドが亡霊になって街の人間に復讐する話だけど、『ミスティック・リバー』は少年のときに殺されて(または見殺し)にされたティム・ロビンズがあの事件をきっかけに甦ってきて街の人間に復讐するという構造を取っていないだろうか?
無意識の被害者であり加害者であり探偵であり犯人でもあるということ。運命と因果が動き出すとそれは加速度的に悲劇を引き起こし最期まで止まらなくなっていく結末には苦いものしか残らない。無情なミステリー小説がいくつかアタマに浮かぶ。
ふーむその意味だと、悲劇の土台はできていたのだから、シナリオは半端なミステリー仕立てにせずに、徹底的に彼ら3人の感情のガチンコのドラマにすべきだったのだろうなあ。