黒旗水滸伝―大正地獄篇

黒旗水滸伝―大正地獄篇〈上巻〉

黒旗水滸伝―大正地獄篇〈上巻〉

黒旗水滸伝―大正地獄篇〈上巻〉

竹中節全開の裏近代史巷談、キーワードはアナキズム共産主義革命、浅草、大杉栄伊藤野枝関東大震災辻潤虎の門事件と大正期を縦横無尽に駈け抜けた人々の竹中流の歴史の読み直し。まるで山田風太郎の明治開化もののように嘘八百にほんのわずかな事実からの推論の積み重ね。あっと言わせるスキャンダル・ジャーナリズムあるいは幻視の本領発揮。これが未完となった甘粕満映理事長が狂言回しとなる昭和暗黒伝へと続いて行くはずだったが、諸般の事情でここで終ったのは残念。しかしこれを本にしただけでも充分にすごいことだと思う。