陸軍中野学校

陸軍中野学校 DVD-BOX
 66 増村保造(ビデオ)

 増村ワールドに入ると、石井輝男以上にアタマが変になりそうなのはボクだけなのだろうか。論理的であまりに論理的で責めていくので、登場人物のテンションが天井まで上がって降りて来れなくなって救いが無く自滅していく 、その何ともやるせなさが題材がはまれば良いのだが、いつもどんな場合も同じテンションの高さなので、こちらがへとへとになってしまう。
 第二次世界大戦のスパイ養成所となる陸軍中野学校の一期生の物語で、一応市川雷造が主役なのだが、群像劇になっていてアップも少ないのでセミドキュメンタリーの印象を受ける。サブストーリーとしてメロドラマも用意されていてそれも良くできているのだが、
加東大介の学校長の使命感に燃えた有無をも言わせない押しの強さで自殺者が出たりするが、(しかし登場人物はそれに対して疑問を持たない。逆に、どんどんはまっていく)スパイとしてたたき上げていく。その思い込みが全員不幸な方向に運んでいくのだが、そこら辺、何の救いもない。真面目な監督なのだなあとやっぱり思ってしまう。石井隆もこういう追い込みかたするけど、まだ情があるね。こっちは、非情が積み重なって物語ができるからなあ。どこに誰に感情移入したらいいか分からない。
 (角田)