御法度

 99 大島渚ヴァージンシネマズ市川コルトンプラザ

 心理学を学ぶ奴はブロークン・ホームに違いないし、ホモ映画を撮る監督は絶対ナルシストに違いない、という偏見が僕にはある。だから大島監督はナルシストに違いない。
 この映画は「セックス」と「バイオレンス」という大島監督好みのモチーフに加え、監督好みの美少年(もと美少年)たちが3人(松田龍平武田真治浅野忠信)も出演している。ここまで監督の趣味が前面に押し出されてはいる作品も珍しい。話も相変わらず弁証法的で判りやすいし、夜のシーンが多い映像も綺麗なので復帰第一弾としては、申し分ない。たぶんスタッフが優秀なのだろう。個人的には松田龍平より武田真治の方が色気を感じたし、大島監督には、こういった行儀のいい変態映画じゃなく、次作ではぜひ破綻した快作を撮って欲しいとも思う。
(船越)