ゴジラ

 98 GOZZILA ローランド・エメリッヒ (新宿スカラ座

 何と言っても、画面が暗かったので細部がよく見えなかった。内容もまあ、そんなもんだろうって感じで安売りチケットで1200円で良いね、と言う感じだ。
 というと投げやりだがどこを楽しめと言う感じの映画じゃないか。『インディペンデンス・デイ』もそうだったが、どこにも引っかからないんだよね。悲惨さがゲームというか、人間くさくないんだよな。どこかで見たようなシチュエーションがその通りに強引に展開して行くだけで観ている方は置いてけぼりを食らってしまう。逆に言えば、展開とゴジラの動くスピードが速すぎて、ストーリーが追いつかないんだよね。ゴジラの動きが(というのは=脚本を作る人間のアタマの構造が)先手を行きすぎて全然展開が読めてしまう。要するに脚本を書いたドイツ人2人組(監督と製作)の手の平の上でしか遊ばせてくれないような身が縮こまった映画に仕上がっている。これくらいで喜ぶのは、小学生か、アニメヲタクくらいなもんだろう。
 シナリオが悪すぎる。何故という問いが無さ過ぎる事が内容を薄めていると思う。ゴジラを動物に見立てて解釈したことで単なる動物の本能で行動して失敗する米軍など、単なるアホにしか見えず、出てくる人間の行動にも何の必然性も感じられない。あれだけ動物っぽいなら近づいただけで獣臭があったりしてすぐに居場所が分かったりすると思うんだけどなあ。ジャン・レノ平田昭彦というより、宝田 明的存在感は笑えたから(それにしてもショボイ笑いだ)まあ許すけど、人間が間抜けな存在だけでゴジラが何だったのか、たまたまニューヨークに来ちゃいましたってノリで作られているとしか思えない、発想がセコイ映画だと思う。
 やはり、ティム・バートンアレックス・コックスに撮らせるべきじゃないのかな。いくらでも発想が広がるのに、こんな『ジュラシック・パーク』もどきにしちゃいけない。怪獣に少しは感情移入させてくれるか、破壊の快感を味あわせてくれよ。お前らの学生映画を見に来てるんじゃないの!
 (角田)