レギュレイターズ

デスペレーション

デスペレーション

レギュレイターズ

レギュレイターズ

 スティーブン・キングにはしばらく愛想を尽かしていた。「IT」以降、あのシャベリ文体が翻訳のせいだけじゃなくホント鼻についていたのだ。それが、「ローズ・マーダー」など、異常者の脳みそに入り込んだような文章がのた打ち回っているのをながめているうちに読む気がなくなってしまうのであった。「グリーン・マイル」は制約があったせいか、以前のキング節が復活していた。
 さあ、この二作であるが、位置付けがあいまいなんだよね。「レギュレイターズ」はバックマンの賑やかしである。なんの裏もないけどね。読み物としてもちょっと半端だ。ネタとしては短編なんだけど、まあバックマン名義がみんなそうだけどね。
 わたしが感心したのが、「デスペレーション」。ハイウエイから外れた寂れた鉱山町に現れた古代の邪悪な神が復活し、そこに偶然、必然的に集まった人たちが戦うというシンプルな物語。
登場人物のひとりが何度もつぶやく「神は残酷だ」というセリフに代表されるように、善と悪の物語である。 それをディーン・クーンツのような薄っぺらい舞台を背景にしながら、人物に犠牲と再生という古典的、神話的な枠組を与えることで物語を深化させることに成功した。 物語のテンションの高さは保証する。
 ただわかったら教えて欲しいのだけど、主人公の作家が泣くところがあるのだけど、あのきっかけの事件がよくわからなかった。一番重要なシーンなのにちょっと不明なのだ。情報と解釈を求む。