夢へのレクイエム

夢へのレクイエム

夢へのレクイエム

 『レクイエム・フォー・ドリームス』として映画化されたので、期待半分で読んでみたけど、すでに出てからかなり経っている事に気づいた 。典型的な80年代のドラッグがらみで壊れて行くニューヨークの若者たち を描いた、そのまんまの内容であった。いまとなっては、だらだらの地と会話とモノローグを分けない書き方ももう懐かしい感じだ(スティーブン・エリクソンとかね)。
 なにが古いのかというと、閉じられた孤独の世界を描いていることなんだよね。これって、日本で言えばオウム事件アメリカならオクラホマ連邦ビル爆破、その原因のブランチ・デビアン教会事件で、終止符を打たれた時代だと思う。うーん例えてみれば、 「終末論」で世界観を語れる時代の終焉なのかなあ。すべてをそれが背景にある小説は、21世紀を越えられないと思うんだ。それより先に進めないと思う。これはあらゆる芸術において同じではないだろうか。