神様がくれた時間 〜岡本喜八と妻 がん告知からの300日〜

素敵な番組でした。人生の最期が近づいたときに、その時間をだれとどのように過ごすのか。普遍的でありながらも個人的な問題。それどころか、もしかしたら日常的な問題の延長なのかもしれない。胸に迫ります。残されたわずかな濃密になるはずの時間をどうするのか、という問いには、これまでの夫婦のあいだに築き上げられてきた時間、それ自体が答えのように思える。そしてそこにいつも映画が寄り添うように見守るように係わってきたのがわかる。
再放送の折にはぜひ観てください。
再現ドラマでの、監督役の本田博太郎が似過ぎている。でもそっくりショーにならないのは、カメラが近づかず本田とわかるように撮っていない。その距離感が心地よい。妻役の大谷直子も良いです。由縁のあるキャストが演じ、実際の岡本邸を使っているので、ドラマとドキュメンタリーの境界が互いに溶け込み出して、より深く静かな意味が出てくるように思えた。