フォックスの投売りDVD

99円で『フューリー』を手に入れるべきか。でもリマスターでも無さそうだしなあ。吹き替えとか特典もねえ…。
フューリー [DVD]
わたしのオールタイム・ベストの一本なんですよねえ。デ・パルマファンでこれが好きだというと大体バカにされたもんですが、デ・パルマ好きを称した者は『ファントム・オブ・パラダイス』、『キャリー』、『殺しのドレス』の順番は大体決まっていて、変わり者は『愛のメモリー』、『悪魔のシスター』が入り、『スカーフェイス』はデ・パルマ作品には入っていなかった。そのなかで『フューリー』は失敗作として徹底的に無視された記憶がある。最近はどういう評価なのかは知らんがね。
この作品は、まず出演陣がすごい!マイケル・ダグラスそっくりのカーク・ダグラス、カネのための出演だろうが、悪役が身についているやりすぎなジョン・カサベテス、スピルバーグと結婚する前のエイミー・アービング、シリアスな演技をするチャールズ・ダーニング、スタッフに撮影は、リチャード・フライシャーの70年代作品を担当した、リチャード・H・クライン、音楽は、まだワーグナー調の浪花節オーケストレーションをする前の、単音だけで構成する音楽をやっていたころのジョン・ウィリアムズ
この『フューリー』(78年製作)が70年代政治とビデオで遊んでいたJ・L・ゴダールを嫉妬させ商業映画に復帰させたことをご存知だろうか。自身が第二の処女作という『勝手に逃げろ/人生』(79)のスローモーションは、『フューリー』のあの名シーンに触発されたことは明らかで、ゴダールの発言(「アメリカン・ニューシネマの息子たち」)にも書かれている。

「ぼくは、ブライアン・デ・パルマの<フューリー>にたまたま使われているスローモーションが唯一の良い使い方だと思う。小細工として使われているのではなく、ひとつのシークェンス全体にわたって使われているのからね」

長らく本格的な映画を離れていたゴダールを本気にさせた映画なのですよ。

勝手に逃げろ/人生 [DVD]

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