マッカーサーとチャンバラ
- 作者: 小川正
- 出版社/メーカー: 恒文社
- 発売日: 1995/09
- メディア: 単行本
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でここに書かれた彼の姿はシナリオライターというよりも映画ブローカーだったりします。彼の人脈やコネをフル活用して映画企画をまとめ上げて映画会社から斡旋料を巻き上げる。それは痛快というか唖然とするほど面白い。
戦後チャンバラ映画が撮れなくて困っていた大映の永田社長に話を持ちかけ、GHQの知り合いと賭けゴルフで勝負して見事に勝って検閲をパスさせた。
「笛吹童子」の企画を出しシナリオを書いて大ヒットさせ、同じ原作者の話を次々と映画化するが、話が無くなったのでこちらがシナリオを先に書いて映画化したら、東宝が原作者の家にあったそのシナリオを基に映画を作ったので同じ映画が同時に出来てしまい、こちらが原作を書いていない原作者とそれを買った東宝から訴えられた、など現場サイドとは全然違う話が続々出てきます。
東映の社長、大川博、プロデューサーのマキノ光雄、常務の伊勢憲三郎、東宝の森岩雄、滝村和男、松竹専務の高村潔、俳優ブローカーの星野和平らが世評とは違った面が人間臭く書かれています。これもまあ「映画渡世」の副読本だなあ。これにくらべると現場は純情だね。
「新諸国物語」シリーズはこちらで配信中
http://www.movie-circus.jp/index.html
「山田宏一のなんでも映画誌」の連載のどこかにゴダールとトリュフォーの決裂について書いてあったので、トリュフォー書簡集を書棚の奥から取り出し当該のページを探す。分厚くて大昔買ったのだがほとんど読んでいない。早く邦訳してもらいたいな。
…けっこう辛らつ。ゴダールが「映画史」の本で罵っていたのよりも烈しく的確だったりする。ゴダールに『アメリカの夜』についてハリウッド女優のジャクリーヌ・ビセットとレストランから出てくるシーンをなぜ撮らなかったなどと揶揄されているが、トリュフォーはならば君の映画にはなぜジェーン・フォンダが出ているのだ、また監督の気分が乗らないからといって小道具係りが徹夜で飾りつけたロケセットを勝手にキャンセルするような所業は、マーロン・ブランドなどのハリウッドスターのわがままとどこが違うのかと、ゴダールのそれが単なるイヤミに対して、トリュフォーは真正面から心臓を貫くような真摯な内容を書き連ねる。ゴダールもこの書簡集の序文をそれでも書くのだから大した奴だ。
山田宏一のなんでも映画誌
http://channel.slowtrain.org/movie/column-eigasi/index.html
フランソワ・トリュフォー書簡集
- 作者: Francois Truffaut,G. Jacob,Claude De Givray,Gillis & Givray Claude De Jacob,Gilbert Adair
- 出版社/メーカー: Faber & Faber
- 発売日: 1989/11/01
- メディア: ペーパーバック
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