燃えよピンポン

 97 三原光尋 (シアタートップス)

 松梨智子の作品を観てから「いかん、もっと幅広く観ないと」と思い駆けつけたが、インディーズの映画というより、懐かし自主映画の世界を垣間みたそんな由緒正しい?作品だった。
 きちんと、16ミリで撮って、それなりにロケセット(と言ってもそれほどないが)充実していて力が入っていることがよく分かる。ストーリーは大阪のドリンク剤の老舗「浪速ドリンク」(昭和30年代の「スチャラカ社員」のような会社)で働くOLが、ライバル会社の「天満ボトラーズ」の宿命のライバルOLとの男をめぐって社運をかけたピンポン大会に出場するまでを描いているが、実家が中国料理屋のヒロインに対していつも優雅なライバル(登場の時定番の音楽がかかる)があまり優雅に見えないと言うか、なんでOLが優雅なんだ?と疑問があるけど、それはさておき撮影は生真面目にカット割りをして、役者の演技で笑いを取ろうとしている。フィルムだから、その辺がアドリブであっても上手くはじけなてないのが残念。まあ、そんなにアドリブはないと思うのだが。
 ピンポンとういうネタも上手く転がってはいないと思うのだが、監督には「水泳」「ママさんバレー」そして「ピンポン」というスポ根三部作がありそのひとつに入るらしいが。社会人卓球選手権で勝ったらハワイに慰安旅行だと社長に約束を取り付けると、突然ミュージカルになって陽気なOL生活が歌われるのが笑える。
 その先は自主映画パターンの特訓、達人探し、免許皆伝とブルース・リーの世界が入って来て最後まで突っ走る。ちょっとまだこういうのやってたるの?と言う気分になってしまった。
 コテコテな割には身体を張ったギャグが少なかったなあと思った。小劇場の劇団員とは言え、そんなに過激なことは要求できないのだろうか。それとも、役者が映画の動きが分かってなかったのだろうか。役者に多く頼りすぎているんじゃないかな。主役以外の動きが結構、おざなりなところが目立った。
(角田)