今日のひとこと

「今はライターが呼吸しづらい時代だと思いますよ。なんでそうなったかというと、監督が非常に自分の生理で撮るようになったというか、我が儘になっているというか。要するにホンというのがあって、その演出力を買われて監督が来るという時代が崩れちゃったから、ホンと監督の癒着が始まっちゃて、その間の折り目正しさというのが無いんですね。演出と脚本の間には結構距離があったり、空間があったり、礼儀があったりした方が、むしろ力ってのは出るもんです。それがこういうふうに病気のように癒着しちゃってる状況だから、グジャグジャした映画が横行するんじゃないですかね。
それをシミジミ感じますね。監督による映画の私物化というものが目に余る時代だなというふうに思いますよ」

田中陽造 1991年 「にっぽん脚本家クロニクル」より